岩井食品
高齢者施設で起きた食中毒事件
それでは最後にこんな食中毒事件を紹介しましょう。先に一言だけ言うと、被害の深刻さという点に関しては先ほど紹介したフーズフォーラスの殺人ユッケ以上の被害をもたらした事件となりました。事件が起きたのは2012年8月7日、札幌市内及び苫小牧市内にある複数の高齢者施設にて下痢や血便といった体調不良者が続出しているということが発覚していると明らかになり、その後5日後には女性入居者が感染症によって死亡する事態になりました。そんな中で札幌市保健所が調査すると、どの高齢者施設においても同様の遺伝子方を持つO-157が検出され、その原因となったのは北海道札幌市内にある岩井食品の浅漬け商品である『白菜きりづけ』が提供されたことが判明したというのです。判明した後、岩井食品には8月14日から営業停止を命ずることになりました。その後岩井食品は8月11日に自主休業することになり、その後商品を自主回収するなどの対応に追われることになりました。
この事件では高齢者施設が中心となって問題が発生することになりますが、その後スーパーといった公共の場で販売していた商品を食べたことで4歳女児が死亡すると言う例も発生していたそうです。最終的な被害者として169名にまで上り、なんと2012年9月末までに8人が死亡する事態という、焼肉酒屋えびす以上の死者を出すようになったのです。フーズフォーラスのその翌年に起きた事件ということですが、筆者は申し訳ないですが心のあたりのない事件なのです。それなりに世間的なことに関しては関心を向けるようにしているのですが、それでも記憶がないのでもしかしたらこの時忙しかったから全くといってニュースに関心を持っていなかったのかもしれません。本当はいけないことなのですが、それでも今回を気に知れたので良しとしましょう。
ただ今回の事件がフーズフォーラス以上の死者、過去に起きた食中毒事件で過去に2番目に起きた大きな事件として取り上げられるようになったのです。この事件でコレだけの人数が噴出するようになった要因として、この事件では70歳以上の高齢者がほとんどの発症者ということもあって、体の免疫機能が低下している人々には強すぎる毒性に耐え切れなかったのかもしれません。逆切れ社長の翌年に起きた食中毒事件は最大規模の食中毒事件が起きてしまったというのは、誠に残念で仕方の無いことだったでしょう。しかも商品は浅漬けという老若男女、日本人なら大好きといえる食材が引き起こした事件となっているのでより
食中毒の原因
この食中毒を引き起こした原因となっていたのが漬け込んだ商品を出荷して市場に出回るまでのタイミングがかなりずれていたという事実が判明したのです。調べによると、7月28日漬け込んで30日までに出荷し、消費期限が8月3日までとなっている商品が250kg流通したと見られていましたが、その後28日に漬け込んだ商品が31日にも出荷している商品があることが判明し、食中毒を引き起こしかねないとされていた商品が8月4日の消費期限のものも含まれていたというのです。このため全体的に流通した商品の量としてはなんと2倍の500kgにも及ぶというのです、何故このようなことになったのか、それは岩井食品の書類管理が杜撰であって製造記録が遡れなかったというのです。ここでもやはり内部における管理体制が行き届いていなかったため、という因果関係に行き着いていしまうのです。こうしてみるとやはり食中毒というモノは企業が意図的にしろ何にしろ、きちんと内部体制がそうした不祥事が起こらないように徹底していなかった、そういうことになります。
この事件の影響により当然ながら浅漬け関連の商品が売れ残ってしまうという風評被害を蒙る店舗が続出し、売上もひどいときには半分も減少するということもあって、白菜の卸値も大幅下落してしまうという事態になりました。またこの事件をきっかけに漬物を製造している事業を検査したところ、なんと全体の9割近い箇所でほとんと不備があったことも判明するなど、漬物業界の裏事情が垣間見えるまでに闇が引っ張り上げられるようになりました。
この事件をきっかけに漬物を販売している業者、そして漬物の業界団体は信頼回復に奔走に負われ、今後このような不祥事が起こらないようにしていくためにも管理体制はきちんと行っていくと共に、安全安心な漬物を製造していけるようにと製造体製の確立を明言することになります。一つの事業によって明らかにされた不祥事はその後全国的にその影響をもたらすように改善へと足を進めていくこととなりましたが、これで終わる話ではありません。
廃業へと
その後岩井食品は同年10月には民事再生法の適用を申請し、廃業する方針を見せたというのです。流通先の関係上などから多額な損害賠償請求や被害者に対する医療費などで負債が膨らむことを予期して話し合いで支払いの優先順位が決められる民事再生という道を選択したのです。
その後2013年には岩井食品が負う事になった負債総額は3億4,459億円もの料金を借り受けることとなります。経営者の自宅や工場などを売却して約95.5%という原資を作り出すことに成功したのです。そう考えると潔さと手続きという観点では明らかにフーズフフォーラスよりかはより誠意的無い対応といっていいでしょう。食中毒事件という起こしてはいけない事件を引き起こしましたが、フーズフォーラスのように資産を明らかに隠し持っていると疑われているような疑惑を持っている人間のようにいつまでもしはらないものもいれば、自宅などを売却してお金を補填する準備を見せているということを考慮すれば、岩井食品に対してまだ同情といった感情を持つことも可能でしょう。
本来なら起こるはずの無い食の安全を害する事件ですが、それでも人間が食材を管理しているということを考えたらこうした事件が頻発するのは仕方がないのかもしれません。ただ、食中毒は家庭内では未然に防ぐことの出来る病気となっているので、日頃からきちんと予防を意識して食に関わっていきたいものです。